会長メッセージ

12月の会長メッセージ

 本日は、今年最後の記者会見となりましたので、私が選んだ「農業・農村・JAに関する5大ニュース」をご紹介しながら、この一年を振り返りたいと思います。

 第1位には「食料・農業・農村基本法の改正議論の本格化」を選びました。
「農政の憲法」と呼ばれる基本法の25年ぶりの改正に向け、JAグループにおいても改めて、日本の食や地域をどう持続可能なものにしていくか、議論や対応をすすめてまいりました。一方で、ウクライナ情勢や急激な円安により、肥料・飼料・燃料など営農に必要不可欠な資材価格は高騰し、その後も高止まりの状況が続いており、まさに生産現場は正念場となっています。そうしたなかで、
・「食料安全保障の強化」
・「再生産に配慮した適正な価格形成の仕組みの具体化」
・「農業の持続的な発展」
の3つを大きな柱として、その実現に向けた取り組みをすすめており、年明けの通常国会での改正に向け、引き続き、組織をあげて、尽力してまいります。

 第2位には、「『国消国産』の重要性についての情報発信」を選びました。
 JAグループは、令和2年より、「私たちの国で消費するものは、できるだけ、その国で生産する」という「国消国産」をキーメッセージに、今年も情報発信を強化してまいりました。10月16日は、国連の世界食料デーということもあり、この日を「国消国産の日」として、日本記念日協会に登録しています。「国消国産の日」を基点に、全国約1,500のJA直売所での取り組みなどにより、多くの消費者の皆様に、国産農畜産物を手に取っていただくことができました。全中が毎年実施している調査では、「国消国産」の言葉を知っている方は約4割となっております。この数字をさらに増やし、また、実際により多くの皆様に「国消国産」を実践いただくためにも、引き続き、国産農畜産物の魅力とあわせ、「食」を生み出す「農」の実態をご理解いただけるよう、情報発信に努めてまいります。

 第3位には「相次ぐ異常気象の発生」を選びました。
 地球規模で気候変動ともいえる状況が続いており、日本でも大雨、そして台風など、多くの異常気象に悩まされました。特に、この夏から秋にかけては、観測史上最も平均気温が高く、まさに「地球沸騰化」の時代が到来しております。「地球沸騰化」の国内農業への影響は、生乳生産量の減少、果物の変色・落下、さらにはコメの等級低下など、深刻な影響がありました。こうした状況をふまえ、行政や関係機関と連携し、高温耐性品種や栽培技術の導入など、また、消費者の皆様への必要な情報発信について、来年も一層の取り組みをすすめてまいります。

 第4位は、「ポストコロナ禍の生活」を選びました。
 5月8日に新型コロナウイルス感染症における感染法上の分類が「5類相当」となり、日常生活における行動制限などが無くなりました。JAグループでも、4年ぶりに、地域でのお祭りやイベントを開催できたところも多く、地域の皆様と「収穫」の喜びを祝うことができました。地域での様々な交流も復活し、協同組合の原点である組合員との「対話」を通じ、「不断の自己改革によるさらなる進化」を新年も引き続きめざしてまいります。

 第5位には「第30回JA全国大会の議案検討開始」を選びました。
 来年の10月に開催予定であるJA全国大会は、節目である第30回を迎えます。現在、大会議案作成に向け、論点整理の検討などを行っているところです。 前回大会以降、JAや農業、社会を取り巻く環境が大きく変化していることは、私も、組合員や現場の役職員と接する中で強く感じております。こうしたなかで、全国のJA組合員とJAグループ各組織が共通の意志を結集し、課題解決がはかれるよう、ひいては、それが持続可能な農業と地域共生の未来づくりにつながるよう、大会開催に向け、精一杯努めてまいります。

 以上、私が考える本年の5大ニュースとなりますが、番外編といたしまして、「山野のウォーキングが東京でも始まる」を挙げたいと思います。全中会長への就任によるあわただしさから、趣味のウォーキングを一時期中断しておりましたが、10月頃より、東京でウォーキングを再開いたしました。木々や気温から季節の移り変わりを感じ、歩くことは、リフレッシュ効果があり、非常に有意義な時間となっています。

 改めて、私は、8月18日に全中会長に就任してから、本日12月7日で112日となりました。私のポリシーは「前向き」です。先ほどお話ししましたウォーキングも含め「前向き」に、今日まで邁進してまいりました。本年の5大ニュースには、食料・農業を取り巻く環境変化をふまえたものが多くありましたが、こうした環境変化も「前向き」に捉え、来年も全中会長の職務に全力で誠心誠意あたってまいります。

令和5年12月7日 JA全中定例記者会見より

ページトップへ