会長メッセージ

一般社団法人 全国農業協同組合中央会 代表理事会長 中家徹

5月の会長メッセージ

はじめに、5月5日、石川県能登地方を中心に発生した震度6強の地震、また、5月11日の千葉県南部を震源とする地震が発生しました。被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
いずれも、しばらくの間は、強い揺れが続く可能性があるようですので、それに備えながら、引き続き、JAグループとして出来る限りの取り組みをすすめてまいります。
一方で、全国各地で田植えが順調にすすんでいます。田植えのタイミングは全国一律ではなく、品種や気象・気候によって様々であるため、各地を訪れた際には、稲の生育の違いなどを楽しんでいただければと思います。

さて、4月には、先進7ヵ国農業大臣会合が宮崎にて開催されました。コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻によって、世界的に大きな影響が出るなか、食料安全保障の重要性が共通認識されたことは、大変意義深いものと考えています。
共同声明や、G7各国が取り組むべき行動を要約した「宮崎アクション」では、自国の生産資源を持続可能な形で活用することや、農業の生産性向上と持続可能性の両立などが盛り込まれました。
これらは、JAグループが提唱する「国消国産」、「国民が必要として消費する食料は、できるだけその国で生産する」という考え方に通じるものと確信しております。
JAグループといたしましては、引き続き、安全で安心な農畜産物を安定して消費者の皆さまにお届けするという使命を果たしてまいります。そのために、国内資源を有効活用しながら、生産基盤を維持・強化し、地域の実情に応じた創意工夫ある取り組みをすすめてまいります。

こうしたなか、食料・農業・農村基本法の見直しについて、政府・与党による検討は山場を迎えております。JAグループにおいても、令和4年11月からの組織内での検討結果を整理し、5月11日の全中理事会で、政策提案を決定いたしました。 大きなポイントについて3点、申し上げます。
1点目が、「食料安全保障の強化」です。平時を含む「食料安全保障の強化」を基本法の目的として位置づけること、さらに、農畜産物の輸入から国産への切り替えと、それらの安定供給に向けた措置についても重要と考えております。
2点目が、「再生産に配慮した適正な価格形成の仕組みの具体化」です。生産資材価格の高止まりが経営に大きな影響を及ぼす一方、価格転嫁はすすんでおらず、新たな法整備も含め、早急な対応が必要です。
3点目が、「農業の持続的な発展」です。農地の受け皿となる経営体の育成は不可欠ですが、一方で、大規模な担い手だけでは、地域農業は守れません。 農業生産の増大をはかるうえでも、規模の大小にかかわらず、全ての意欲ある農業者の持続的な経営が確保されることで、農地・農村を維持することができると考えています。
また、こうした食料安全保障の強化と、持続可能な農業・地域づくりのための政策確立に向けては、5月12日に開催いたします全国大会などにより、政府・与党への働きかけを行ってまいります。

令和5年5月11日 JA全中定例記者会見より

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