未だ収束が見通せないロシアによるウクライナ侵攻、円安の影響、また、今般の大雨や台風など、頻発する自然災害などにより、農業を取り巻く環境は一層厳しい状況になっています。
特に、原料の輸入依存度が高い肥料、燃料、飼料といった生産資材の高騰が続くなか、農畜産物の価格は低迷しており、営農継続が危ぶまれるほどの事態になっています。
JAグループ一体となって、国内資源の有効活用や、化学肥料の使用量低減に向けた取り組みを支援していますが、政府に措置いただいている物価高騰対策など、生産現場に対する切れ目ない政策支援も必要不可欠であると考えています。
こうしたなか、国民の皆さまに「食」を生み出す農業の実態や課題などについてご理解をいただくため、本日の理事会では、昨年制定した「国消国産の日」、10月16日を基点として、「国消国産月間」である10月に、全国のJAグループ各組織がそれぞれの工夫のなかで、重点的に情報発信していくことを確認しました。
あわせて、全国約1,500店舗の直売所において、新鮮で安全・安心な農畜産物を楽しんでいただくことを目的とした、「国消国産」秋の大収穫祭キャンペーンも予定しています。
また、消費者と生産者が一緒に「食」と「農」を考えるきっかけとする1万人規模のウェブを活用したシンポジウムや、国産農畜産物を手に取っていただくことを目指すJAタウンを活用した1000万人キャンペーンなども実施します。
これら国産の農畜産物を手に取っていただくきっかけづくりとなる取り組みも展開し、そのうえで中長期的には再生産に配慮された適切な水準での価格転嫁がなされることが、本来あるべき姿と考えており、以降も継続した情報発信に取り組んでまいります。
食料安全保障の確立とあわせ、本年は、第29回JA全国大会決議の実践初年度として、持続可能な「食料・農業基盤の確立」「地域・組織・事業基盤の確立」に向け、地域ごとに創意工夫ある取り組みをすすめています。
先日、次世代の担い手の確保をテーマとした「JA営農・経済フォーラム」、また組合員をはじめ地域住民など多様な方々とのメンバーシップの強化をテーマとした「JA組織基盤強化フォーラム」を、それぞれ全国2か所で開催しました。
こうしたフォーラムなどを通じて優良事例を横展開することにより、JAグループ各組織での着実な実践をすすめてまいります。
さて、本年は、5年に一度の和牛のオリンピックである「全国和牛能力共進会」が10月6~10日に鹿児島県で開催されます。
全国から優秀な和牛が一堂に会し、改良の成果やその優秀性を競う大会であり、全国の和牛関係者にとって、この大会で優秀な成績を収めることは、最も大変な栄誉とされています。
前段で申し上げましたとおり、飼料価格の高騰により畜産経営にも深刻な影響が出ているなか、従来以上に生産者の日々の努力が報われる大会となることを願っています。
9月8日 JA全中定例記者会見より