かねてより申し上げておりますが、私たちの「食」を取り巻く環境が、今、大きな転換点を迎えています。
未だ収束が見通せないロシアによるウクライナ侵攻、円安の影響、さらには、頻発する自然災害などにより、「食」を支える「農」を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあります。
特に、原料の輸入依存度が高い肥料、燃料、飼料といった生産資材の高騰が続くなか、営農継続が危ぶまれるほどの事態になっています。
こうした現状をふまえ、政府は、1999年に制定された「食料・農業・農村基本法」の見直しに着手し、私も基本法の「検証部会」の委員として、参画することとなりました。
今後、JAグループとしても、基本法の見直しにかかる基本的考え方をとりまとめていきたいと考えています。
また、直面する課題への対応として、新たに食料安全保障予算の措置が想定されることから、10月13日の理事会では要請を決定し、10月14日12時より、開催する「JAグループ基本農政確立全国大会」をはじめ、政府・与党への働きかけをすすめてまいります。
これもかねてより申し上げているところですが、食料自給率の低迷や生産基盤の弱体化、多発する気象災害など、消費者の皆さまには実感しづらいながらも、「食」や「農」を取り巻くリスクが増大していることや、農業生産に係るコストが上がっても農畜産物の価格へは転嫁しにくい実態など、消費者の皆さまに、「食」と「農」への理解を深めていただくことが不可欠であると訴えてきました。
そこで、JAグループでは、一昨年から「国民が必要として消費する食料は、できるだけその国で生産する」という「国消国産」の考えを独自に提唱して、様々な取り組みを展開しています。
昨年は、国連が制定した10月16日の「世界食料デー」に合わせ、同日を「国消国産の日」に制定し、さらに本年は、10月を「国消国産月間」と位置づけ、重点的な情報発信をすすめています。
全国の約1,500のJA直売所におけるキャンペーンをはじめ、JAグループ各組織がそれぞれの工夫のなかで、JAグループサポーターである林修先生と連携し作成した資材の活用や、イベント、広報誌、ウェブ・SNSなどによる情報発信に取り組んでいます。
この取り組みの一環として、本日、この後、普段あまり農業と接点を持たない消費者の皆さまを対象として、ウェブを活用した1万人規模のシンポジウムを開催いたします。
「食」を生み出す「農」や地域の未来を、生産者だけではなく、消費者の皆さまとも一緒に考えていただきたいと考えています。
また、消費者の皆さまに、国産の農畜産物を直接手に取っていただく取り組みとして、「JAタウン」を活用した1,000万人規模の送料無料キャンペーンを10月13日から実施いたします。
さらに、10月16日の「国消国産の日」当日には、東京のJR有楽町駅前広場で、大規模な街頭宣伝活動を実施いたしますので、こちらにも是非ご参加いただけますと幸いです。
引き続き、消費者の皆さまに安全で安心な農畜産物を安定供給するという使命を果たすべく、JAグループ一体となって、生産現場の課題に応じた取り組みをすすめてまいります。
「国消国産月間」を契機に、さらに一歩踏み込んで、私たち生産者と消費者の皆さまと一緒に、食料安全保障の強化に向けた具体的な行動に踏み出すきっかけづくりをすすめてまいります。
10月13日 JA全中定例記者会見より