新年にあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。
はじめに、全国各地で発生した自然災害等により被害に遭われた全ての皆様に、心よりお見舞い申し上げます。特に、昨年の秋から夏にかけて、観測史上、最も平均気温が高く、米の等級低下、一部野菜類の不作、乳生産量の減少等、国内農業へ深刻な影響がありました。本年こそは、豊穣の一年となることを願ってやみません。
本年は、制定から20年以上が経過した「食料・農業・農村基本法」が新たに動き出す年です。「農政の憲法」と評される同法ですが、JAグループでは「食料安全保障の強化」、「再生産に配慮した適正な価格形成の仕組みの具体化」、「農業の持続的な発展」等を柱として政策提案を行ってまいりました。今後、数十年の農業や地域をどのようにしていくか、まさに大転換の年となります。
このような中、食料生産に欠かすことのできない、肥料・飼料・燃料の資材は近年、過去最高水準まで高騰・高止まりしており、一方で国産農畜産物の価格は横ばいの状況が続いております。また、国産農畜産物を消費者の皆様のお手元に届けるために必要な物流も重要な局面を迎えております。
生産現場では、付加価値の高い農畜産物の生産や、スマート農業を活用した省力化、耕畜連携など地域資源の有効活用、共同輸送や中継拠点の設置による物流効率化等、様々な取り組みをすすめておりますが、我々生産者の努力だけでは、持続可能な食料生産は難しい状況にあります。
こうした食料安定供給に向けた弛まぬ取り組みとあわせ、消費者の皆様に、「食」や「農」の実態を理解し、応援いただくことが極めて重要と考えており、JAグループでは、「私たちの『国』で『消』費する食べものは、できるだけ、この『国』で生『産』する」という「国消国産」の考えを提唱しています。本年も、JAグループ各組織が一体となって、「国消国産」の意義等に関する情報発信や、国産農畜産物を手に取っていただくきっかけづくりとなる取り組みを強化してまいります。
さて、本年10月には、第30回JA全国大会を開催いたします。前回大会以降、農業・社会をめぐる情勢が大きく変化し、さらに、JAの組織や経営を取り巻く環境が厳しさを増していることを強く感じています。こうしたなかでも、全国のJA・組合員が共通の意志を結集し、課題解決がはかれるよう、大会に向けて議論を重ねてまいります。
私の座右の銘は、「なこよか、ひっとべ」です。私の地元、鹿児島の言葉で、「困難に直面した時は、立ち止まらず、とにかく行動せよ」という意味です。JAグループはこれまでも、人と人の繋がりである「協同の力」によって、困難を乗り越えてきました。地域農業の振興により、豊かな地域社会を築くという本懐を遂げるため、私自身、「前向き」に行動し、頑張ってまいります。
本年も引き続き、JAグループならびに本会の事業運営にご理解とご協力を賜りますようお願いするとともに、皆様の益々のご健勝をお祈り申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。