令和7年も残すところ、わずかとなりました。
令和6年に続き、私が選んだ「食料・農業に関する5大ニュース」をご紹介しながら、この一年を振り返りたいと思います。
第1位には「新たな『食料・農業・農村基本計画』決定」を選びました。政府は、新たな「食料・農業・農村基本計画」の初動5年間を「農業構造転換集中対策期間」と定め、農業の構造転換に向け、各種施策を集中的に講じるとしています。JAグループにおいても、我が国の食料安全保障の確保や、農業者が将来の展望をもって営農を継続できる環境の整備に向け、現場のニーズに応じて、施策を活用しながら、引き続き取り組みを進めてまいります。
第2位には、「『適正な価格形成』の重要性、一層高まる」を選びました。いわゆる「令和の米騒動」などを契機に、米の価格が国民的な議論になり、生産者・流通業者・消費者の各段階において、「適正な価格」を考える1年となりました。私も何度も申し上げてまいりましたが、生産者と消費者の双方が納得できる価格を目指し、JAグループとして、食料の安定供給の責務を果たすとともに、生産者が将来を見通しながら農業経営を継続できるよう、引き続き、需要に応じた生産に取り組んでまいります。また、JAグループは、「私たちの国で消費する食べものは、できるだけこの国で生産する」を意味する、「国消国産」の取り組みを、令和2年より行っていますが、昨今、その意義が一層問われています。そうした意義・取り組みを、より消費者の皆様にご理解いただけるよう、取り組んでまいります。
第3位には、「協同の精神について理解広まる」を選びました。国連が定める国際協同組合年である2025年においては、7月5日の国際協同組合デーにおけるイベントや、各地域・各協同組合から、協同の精神の意義を発信しました。また、令和8年は「女性農業従事者の国際年」でもあります。引き続き、JAグループは、他の協同組合との連携しながら、協同の意義を発信してまいります。
第4位には、「相次ぐ自然災害・鳥獣害被害の発生」を選びました。令和6年度に引き続き、気候変動による高温障害や害虫被害、渇水、大雨による水害の発生にくわえ、令和7年はクマやイノシシ、鹿などの鳥獣害の被害も多発しました。JAグループは、地域の営農を支えるべく、国や地方公共団体、関係機関等と連携しながら、引き続き、支援を行ってまいります。
第5位には、「2027年国際園芸博覧会に向けて始動」を選びました。令和7年、おおいに盛り上がった、大阪・関西万博に続き、花や緑にくわえ、食や農をテーマとする「2027年国際園芸博覧会」が、令和9年3月より、神奈川県で開催されます。その国際園芸博覧会にJAグループとして出展することを決定しており、国産農産物の魅力や、食と農・地域を支えるJAグループの取り組みについて、来場者の皆さまに発信すべく、準備を開始したところです。開会は少々先になりますが、みなさん、どうぞご期待ください。
以上、私が考える令和7年の5大ニュースとなります。令和7年の5大ニュースは、持続可能な食や農に対する課題が多くありました。そうした課題の解決に向けた取り組みについて、最大限取り組んでまいります。
そして令和8年も「私たちの国で消費する食べものは、できるだけこの国で生産する」という「国消国産」の実践に向け、JAグループはあらゆる役割を発揮してまいります。
令和7年12月4日 JA全中定例記者会見より