週刊新潮7月7日号の特集企画で、作家・佐藤優さんと「協同組合」「食」「農」をテーマにした対談を行いました。冒頭、「行き過ぎた現代の資本主義社会の犯した過ちを矯正していけるのは、協同組合運動を於いてほかにない」と述べました。特別編として、対談での奥野会長の言葉を紹介します。
私の生まれた村は非常に協同意識が強い地域で、村で医者を雇っていました。あまり豊かな村でもなかったので、みんなで助け合わないとやっていけないという思いが強かったのです。生協の活動に惹かれ、大学時代から取り組んだことも、小さい時からそのような環境で育ったからです。
今、日本では、6人に1人の子供が貧困状態に陥り、子どもたちの健康が非常に深刻な状態にあると指摘されています。この問題の解決には、JAグループの力を結集するとともに、生協など他の協同組合の皆さんとしっかりとスクラムを組むことが必要です。
「自国民に十分な食料を与えられない者は、政府の責任を放棄することだ」と海外の農業関係者に会うと、一様に同じことを口にします。オーストラリアの農業相も「我々は輸出ばかりに躍起になっているのではない。最終的な目的は、自国民を絶対に飢えさせないことです」と語り、国として、自給能力に対する強い意志を感じることができました。困窮する人々や食べられない子供たちへの対策は、焦眉の急の課題だと思います。JAグループは国や行政機関、企業とも連携し、解決に当たっていかなければならないと肝に銘じています。
JAグループの8つの全国組織のトップが毎月集まる定例会を設けました。縦割の事業に横糸を織り込んでひとつのものに束ねていく作業をやらないといけません。JAの現場でも、とことん話し合い、結論を出してもらいます。トップダウンではなく、ボトムアップが創造的自己改革への挑戦につながります。