コロナ禍による世界的なサプライチェーンの混乱や、今般の国際情勢の緊迫化により、様々な分野への影響が続いています。特に農業分野においては、食料安定供給のリスクが現実のものになりつつあります。国際市場では、食料価格の高騰が続いています。
生産面においても、燃料価格や配合飼料価格が高騰しており、とりわけ肥料原料価格は平年の3倍にまで急騰しています。現場では、国際価格への懸念もさることながら、海外から必要な原材料をしっかり確保できるのかという不安の声が多く寄せられています。
特に肥料原料については、全農を中心に調達先の切替えなどにより安定確保に全力を尽くしていますが、輸送費等のコスト増もあり、生産者負担の増加は避けられず、大変厳しい状況にあります。
このことをふまえ、国民の皆さま一人ひとりが、「食」を生み出す「農」の現状や課題について理解を深めていただけるよう、JAグループサポーターの林修先生のご協力を得て作成したわかりやすい資材作成などを通じて、「国消国産」の意義等に係る情報発信を強化しています。
なお、食料安全保障の強化に向けては、抜本的な対策が必要と考えており、6月にとりまとめられる予定の総合的な対策や骨太方針でも、JAグループの考えが反映されるよう、それらを早急にとりまとめ、政府・与党への働きかけをすすめていきたいと考えています。
さて、先月の会見におきまして、生乳の消費拡大についてお願いしたところ、影響力の大きいメディアで発信いただき、消費者の皆様にも支援の輪を広げることができました。おかげさまで、年度末の生乳廃棄は回避することができました。心より感謝申し上げます。
春は、気候的にも生乳生産が好調となる時期です。酪農業界にとっては非常に喜ばしい時期ではありますが、いまだ需給は緩和した状況にあり、学校給食がなくなる大型連休を控えるなか、生産者の不安は尽きません。
今後も、中央酪農会議や日本生協連など関係機関と連携し、消費者の皆さまに国産の牛乳・乳製品を選んでいただけるよう取り組みをすすめてまいりますので、引き続き是非ご協力をお願いします。
新年度を迎え、第29回JA全国大会決議の実践がいよいよ始まりました。何より大事なことは、組合員と役職員が力を合わせて、ひたむきに取り組むことだと考えています。
例えば、JAグループの活動報告書2021にあるとおり、訪問活動を通じたニーズの把握については、正組合員に対しては「97%」、准組合員に対しては「87.5%」のJAで取り組んでおり、こうした対話を基本として、全国各地で創意工夫ある取り組みをすすめています。
自然災害の頻発・甚大化、新型コロナウイルス、緊迫した国際情勢など、私たちの力だけでは対応が難しい課題が山積していますが、協同の心をもって、「なくてはならない」存在であり続けるため、地域の課題に応じた具体策を着実に「実践」してまいります。
4月7日 JA全中定例記者会見より