先般来、東北地方と北陸地方を中心とした記録的な大雨により甚大な被害が発生しており、被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興をご祈念申し上げたいと思います。
引き続き、生活インフラの復旧とあわせて、営農の再開、農業被害の状況把握に全力を尽くしています。JAグループの総力を挙げて、地域農業の復旧・復興に取り組んでまいります。
さて、本日、通常総会を開催し、令和3年度の事業報告・決算書などを承認いただきました。
また、今総会では、現在、農業を取り巻く環境が、過去に例がないほどに危機的な状況にあることを踏まえ、安全で安心な国産農畜産物を安定的に供給するという使命を果たすべく、JAグループが一致団結し、食料安全保障の強化に取り組むことを特別決議として確認しました。
特に、肥料の価格が高騰し、生産現場は営農継続も危ぶまれる危機的な状況となっています。
先般、政府・与党には、迅速な対策を措置いただきましたが、今後も肥料価格の高止まりが想定されるなか、JAグループの自己改革の一環としても、生産コスト低減、そして、環境調和型農業の推進をはかるため、化学肥料使用量低減に向けた取り組みなどをすすめてまいります。
先日、公表された令和3年度の食料自給率は、国産小麦・大豆の生産拡大などが主な要因となり、カロリーベースでは38%と微増した一方、主食用米や野菜をはじめとした農産物価格が下がったことを受け、生産額ベースでは63%と過去最低となりました。
食料・農業・農村基本計画において、食料自給率の向上を打ち出すなか、未だ、先進国で最低の水準であり、大変残念に受け止めています。
すでに、安い農畜産物を安定的にいくらでも輸入できる時代は過去のものとなっており、また、生産資材の高騰により、国内農業も大変厳しい状況におかれています。
「食料安全保障の強化」は、農業者のみならず、国民生活にとっても重要課題であることを、JAグループ一体となって、国民の皆さまにご理解いただけるよう説明してまいります。
具体的には、「国民が必要として消費する食料は、できるだけその国で生産する」という「国消国産」をキーワードに、10月16日の「国消国産の日」を中心として、今年10月1か月を「国消国産月間」と位置づけ、国民の皆さまに、「食」を生み出す「農」の実態や課題への理解を深めていただくとともに、日々の行動変化、つまり、国産の農畜産物を手に取っていただくきっかけづくりとなる取り組みを展開してまいります。
そのうえで、中長期的には、再生産に配慮された適切な水準での価格転嫁がなされることが、本来あるべき姿と考えており、以降も継続した情報発信に取り組んでまいります。
8月10日 JA全中定例記者会見より