会長メッセージ

一般社団法人 全国農業協同組合中央会 代表理事会長 中家徹

3月の会長メッセージ

暦の上では「啓蟄」を過ぎ、ここ数日気温が高い日が続き、徐々に春の訪れを実感する季節となりました。
農業生産資材の高止まりなど、依然として大変な状況が続きますが、次の収穫に向けた種蒔きが全国各地で始まっています。

こうした中、先日、NHKと共催している、第52回日本農業賞の表彰式を、4年ぶりに実開催いたしました。
日本農業賞は、めざましい経営や技術、地域社会への貢献など、極めて優秀な農業者を表彰するもので、これまで本表彰を受けられた多くの方が、天皇杯も受賞されていらっしゃいます。
今回、農業を取り巻く厳しい環境にありながらも、消費者や市場のニーズに的確に対応し、努力を積み重ねてこられた方が、数多く受賞をされました。
例えば、有機農産物の生産・出荷に20年以上前から取り組み、消費者団体と強い信頼関係を構築してきた茨城県の「JAやさと有機栽培部会」。
さらに、国産レモンの古くからの産地であり輸入自由化による苦境を乗り越えて産地の維持・再生を図ってきた広島県の「せとだエコレモングループ」。
また、高品質なスイートピー生産により市場評価を確立し、世界を視野に入れ販売戦略を展開している愛知県の「JA愛知みなみスイートピー出荷連合」。
こうしたトップランナーの取り組みが、JAグループが提起している、「国民が必要とし消費する食料は、できるだけその国で生産する『国消国産』」を、大きく前進させるものと確信しております。
国民の皆様へ、これら先進事例や生産現場の想いや工夫などを、引き続き、情報発信してまいります。

さて、来たる3月11日で、東日本大震災の発生から12年を迎えます。
JA全中会長に就任して以来、多くの被災現場を訪ねてきました。農地は概ね復旧し、営農再開は進んでいますが、かつての地域コミュニティは大きく変化し、真の意味での復興は道半ばであると痛感しています。
一方、被災地との対話をすすめるなかで、これまで、「協同の力」が果たしてきた役割は大きいと実感しています。今後も震災を風化させることなく、協同組合の仲間と連携し、息の長い支援に取り組んでまいります。

また、本日はJA全中の臨時総会を開催し、令和5年度の事業計画や予算について、審議・承認をいただくとともに、食料安全保障の強化に向けた決議を行ったところです。
現在、改正に向けた議論がすすめられている「食料・農業・農村基本法」は、生きていくために不可欠な「食」を主要テーマとしており、農業関係者だけではなく、是非とも、国民の皆様にも関心を持っていただきたいと考えています。
食料安定供給のリスクが高まるなか、日本での食料生産、すなわち、日本農業を持続可能なものにしていくため、引き続き、再生産に配慮された適正な価格形成に向けての仕組みづくりを求めてまいります。

令和5年3月9日 JA全中定例記者会見より

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