新たな元号「令和(れいわ)」の出典は、歌集「万葉集」の梅花の歌の序文から引用されました。梅の花にちなんだ元号が選ばれたことは大変、うれしく、地元の和歌山県は日本一の梅の産地であるので、特別な思いをしています。
梅は春の訪れを告げる花です。花は小さいですが、大きな実をつけます。JAグループは自己改革に取り組んでいます。3月の「JA全国大会」でも成果を報告しましたが、大きな実を結べるよう、不断の改革に取り組んで参ります。
平成を振り返ると、日本の農業にとって激動の30年でした。平成が始まる直前のオレンジの自由化をはじめ、TPP11、日EU経済連携協定(EPA)など、貿易の自由化、グローバル化が進み、農業・農村、組織・事業・経営、協同組合の「三つの危機」が増幅された30年でもありました。
一方で、特に近年、災害が多発したことにより、協同組合の相互扶助の考え方、取り組みが見直されました。国連が定めた「国際協同組合年」(2012年)や「家族農業の10年」(2019~28年)など、国際的に評価が高まっています。この動きを追い風にして危機を克服していきたい。
現行の「食料・農業・農村基本計画」の見直しが行われています。農水省の審議会の議論に参画していますが、いかに我が国の食料安全保障を確立していくのか、この視点を盛り込んでいきたいと思います。
農業・農村が持続可能になるには、大規模から中小まで多種多様な担い手が協力し、消費者と連携しながら地域農業を支えていく必要があります。私も地元に帰ると道普請(みちぶしん)など共同作業に参加します。このような助けあいは、農業の維持はもとよりコミュニティを活性化し、郷土愛が生まれることになると思います。農業は一産業にとどまるものではありません。地方をどう守り、発展させるのか。地域政策の観点も非常に重要で、令和の時代になっても変わることはありません。