間もなく、東日本大震災の発生から10年を迎えます。先月も、福島県沖を震源とする最大震度6強の地震がありましたが、改めて、災害の影響について考えさせられました。
JAグループでは、いろいろな形で復興支援に取り組んで参りました。4年間で約1万5000人の役職員、組合員を支援隊として全国から被災地に派遣しました。震災から10年が経過するなか、震災の記憶を風化させることなく、被災地の復興支援に力を入れていきます。
私もJA全中会長に就任してから幾つかの被災の現場を訪ねてきました。営農再開が進んでいるという感触を受けた一方で、まだまだ復興は道半ばで、特に原発事故のあった福島県では依然として農畜産物の風評被害が続いています。特に牛肉、桃、米では影響が顕著で、いちど価格が下がってから需要と価格の回復に至っていません。農業者にとっての喜びは、自分が丹精を込めて育てた農畜産物が消費者の皆さまにおいしく味わっていただき、評価されることだと思っています。JAグループとしても、原発事故からの影響を払拭するためにも、「安全・安心」というPRを含め、いろいろな形で支援に取り組んで参ります。
本日は臨時総会を開催し、「JAグループの『不断の自己改革』 の実践に関する特別決議」を行いました。引き続き、グループを挙げて「農業者の所得増大」「農業生産の拡大」「地域の活性化」を基本目標に、不断の自己改革の実践を確認しました。
今年度のJAの自己改革の取り組みをまとめた「活動報告書2020」を公表しました。農畜産物の輸出に取り組むJAの割合は40%以上と大幅に増加し、輸出額も2019年には200億円間近まで迫っています。また、約4割のJAがICT、IoTなどスマート農業の導入支援や活用を行い、省力化やノウハウの継承、農業者の働き方改革に活かしています。地域の活性化でも、移動購買車は年間100万人以上が利用し、地域を支える重要なインフラになっています。また、JAが食材を提供している子ども食堂の年間利用者が3万人を突破しました。地域を支えるJAならではの活動でもあります。
JAグループではこれからも様々な改革に取り組み、コロナ禍であっても「国消国産」を進め、食料の安定供給や地域のインフラとして、社会的使命を果たして参ります。
3月5日 JA全中定例記者会見より