10月15日時点の20年産米の作況指数は99でしたが、今後の米の需給見通しは新型コロナの影響で業務用を中心に需要が減少し、来年産で需給均衡するには40万トン近い減産が必要になっています。これは東北の主産県1県分と同じで、過去に例の無い衝撃的な数字です。JAグループでは20万トンの主食用米を長期計画販売することとしておりますが、グループ全体の集荷量は300万トンです。40万トンの減産はJAグループだけでは限界があることをご理解頂けるかと思います。
JAグループでは、需要に応じた生産を強化してきました。米の安定供給に欠かせない取り組みで、消費者の皆さんにとってもメリットがあるものと思っています。水田農業の崩壊は洪水防止など多面的機能の低下にとどまらず、地域の経済社会に悪影響を及ぼすことが想定されます。今こそ、コロナ禍を踏まえた水田農業の将来を見据えた取り組みが極めて重要になると考えております。
菅総理は所信表明演説において、農林水産物の輸出に力を入れていくと発信されました。JAグループでは、これまでも輸出拡大による生産基盤の拡大と生産者の所得向上を目指して、牛肉、果実、米などの輸出に取り組んできました。改めて、JAグループ一体となって輸出拡大に取り組むことと併せて、関係業界と連携したオールジャパンの取り組みに参画して参ります。
JAグループでは、3年に1回、共通意思を決定するJA全国大会を開催しています。令和4年度からの3年間を実践期間とする「第29回JA全国大会」を来年10月に予定し、今後検討をすすめて参ります。議案の検討では、社会の環境変化を踏まえ、JAグループの目指すべき姿、今後10年程度の長期ビジョンを提示し、その実現を目指し、総合事業を前提とした持続可能な組織・経営基盤など、直面する課題に対応する取り組み方針を提示していきます。
コロナ禍で地域の助け合いが改めて重要になっています。合わせて、国民が消費する食料はその国で生産するのが基本である『国消国産』の考え方について食料安全保障の強化、食料自給率の向上から情報発信を強化していきます。
11月5日 JA全中定例記者会見より